「かちかち山」は残酷か?

思い出の絵本展 実行委員会

2011年09月16日 12:03

 前回いろんな立場の人が、それぞれの立場で、「かちかち山」を解釈しているとお伝えしました。今回は文学の方面から二作について。
 武者小路実篤・作 岸田劉生・画「カチカチ山」1917年(大正六年)出版 ほるぷ出版 名著復刻 日本児童文学館 ⑧ こちらは、私たちおなじみのかちかち山のお話。
面白いのは、
☆ 太宰治「お伽草紙」の中の「カチカチ山」三心堂出版社1998・12
内容を一部抜粋
● タヌキは確かに悪い、婆汁なんてのはひどい。縁の下に婆さんの骨が散らばっていたなんて・・・しかしそれなら何故、あだ討ちといって颯爽と一撃のもとに倒さなかったのか?背中を焼かれ、焼かれた箇所に唐辛子を塗られ、挙句の果てに泥舟に乗せられて殺される・・・武士道にあるまじきやり方。男らしくない。そうだ、ウサギのやり方が男らしくないのは当然だ。タヌキにこんなひどい仕打ちをするウサギは、男じゃない。このウサギは十六歳の処女だ。いまだ何も色気はないが、しかし、美人だ。そうして、人間のうちで最も残酷なのは、えてして、このたちの女性である。云々
なんとも文学者らしい解釈で、読んでいて笑いがこみ上げてしまいました。ここは是非みなさま原文でお楽しみいただきたいと思います。
太宰の残酷であるの意味は、タヌキは確かに悪い。しかしタヌキへの報復は、もっと正義の味方らしく、正々堂々と一騎打ちでなされるべき・・・こんなやり方は男ではない、女だ・・・おおっあんまり書くと女性陣から攻撃の手が挙がりそう
(笑)
次回は、昔話の研究家の小沢俊夫氏の解釈をご一緒に楽しみたいと思います。
追記太宰治の「カチカチ山」は、生誕100周年記念としてオカダ ミカの絵でパブリック・ブレインより出版されています。2009年2月21日 第一刷初版  絵本展実行委 あっこたん

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